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寝台バス初体験(ベトナム) 2016.04.30 ~ 2016.05.03

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昨年、二人でハノイを楽しんだ友人から「もし都合が良ければ、またハノイへ行きませんか」の誘いを受け即決で同行することにした。目的はただ一つ寝台バスに乗ること。昨年、来年は寝台バスでラオスに行こうかという話をしていたが、ラオスは少し冒険かなということでベトナムの中部を目指すことにした。ハノイからのバスを予約していないので乗れるのか不安であることと、ホテル宿泊なしの4日間になるので心身とも72時間耐久旅行になるねと話しながら出発した。

4月30日、中部国際空港からハノイへ、バスのチケット確保が最重要なのでタクシーで「ザップバットバスターミナル」へ直行し中部地方の「Hue」(フエ)とか「Da Nand」(ダナン)とかが書いてある窓口を探す。最初に目に入った「ダナン」の表示がある窓口で18:30発のチケットを35万ドンで購入することができたので一安心。購入後に窓口を見渡すと「フエ」という表示は見かけなかったが、「ダナン」と表示した窓口は他にもあった。
(ハノイ~フエが約650km、ハノイ~ダナンは約760km、あとでダナン行きに乗ればフエで下車できることがわかった。もっとも、長距離バスでも乗車は予約が必要だろうがフリー乗降できるようだ)

まだ15時前だというのに、係りの人に待機中のバスに連れて行かれた。床下では数人(乗務員)が横になっておりチケットを見せると大声で床下を指差しされ、そんなことはないだろうがまさかここかではと不安がよぎる。ベトナム語が話せないのでこちらもゼスチャーで室内を指差すと大声で反応があるがさっぱり。何度か繰り返すうちにやっと理解できたのだが、バスはこれだが今は車内が暑いので待合室で待て、17時になったらエンジンをかけるので来いということだった。車内を撮影させてくれと頼んだら1万ドン出せと言われ紙幣を見せ値下げ交渉するも結局1万ドン渡して1枚撮らせてもらった。 17時にホームに行くと確かにバスが入っており乗務員に促されステップに足をかけようとすると土足厳禁ということでビニール袋に入れた靴を持って右側最後尾の上段へ案内された。
(途中休憩時などには、バス備え付けのスリッパが準備される)

このバスは2通路の独立3列、各列に6列のシートが上下段あり36人+後部はシートなしの「ごろ寝スペース」が上下段ともにあり、ここは定員5名で+10名の46人乗りということになる。
(しかし、このスペースの席番を見るとB20~B24、左の6列目がB18、その前がB13、B19は?)

乗務員は3名、最近日本で特に言われている決まり事のあのベルトやカーテン、トイレは付いていなかった。
(ちなみに用をもようしたら乗務員に声をかけ止めてもらうしかない。女性も繁みでしていたようだ。降車する人がいればチャンスで一緒に降りて済ませることが大事ということになる)

定刻前の17:47発車、19:15減灯となったが大音響のDVD放映(モニター4台)と絶えることのないクラクションで寝るどころではない状態が続く。20:15バスが建物の前に止まり休憩のようなので降りて用を済ませこっそり写真を撮ろうとしていたら、乗務員が室内に来いと手招きしていたので、また1万ドンかと思ったら夕食とのこと。夕食付きだったことを初めて知ったのだが大変美味しい料理が沢山あり大満足。 22:40出発、21:00に完全消灯となるもDVD、クラクションは相変わらず続く。22:40に2回目の休憩、ガソリンスタンドのようだが給油はしていない。ここからは寝てしまったようで、翌朝4:30頃「フエ」到着で乗務員が上段の「ごろ寝スペース」で睡眠中の外国人2人を起こしにくるまで記憶なし。こんな時間でもバス停にはタクシーやバイクタクシーが待機中であった。上段の「ごろ寝スペース」が空いたので移動してみたが、もろに振動がくるので狭くても座席の方がいいことが分かった。ただ利点は荷物が置けること、座席は幅が狭いので足元に荷物を置くしかなく(特に上段、下段は通路に置く人もいるし通路で寝る人もいる)足元が窮屈になる。6時過ぎに「ダナン」のバスターミナルに到着。ここのターミナルも広大でびっくりするほどの寝台バスが所狭しと駐車していたが撮影は躊躇してしまった。

5月1日、まずは帰りのバスチケットを確保しておかないといけないのでチケット売り場へ行く。ここは新しいのか非常にきれいで窓口は38番まであったが、ハノイで少し学習したので早朝から窓口が開いていた数社を回り「KIM CHI」(キムチ)というバス会社に決めた。18:30発の便を35万ドンで購入、到着は「NUOC NGAM」という「ザップバット」より少し南にあるターミナルらしい。
(運賃はどこのバスでも35万ドンに統一されているようにみえるが、36万ドンの会社もあったので高級なのかルートが違うのか?)

これで一安心したので今度は夕方までどう過ごそうかということになり、海外旅慣れしている友人が17時頃までホテルを借りることを提案しターミナル近くのホテルで交渉しOKとなった。ホテルで一風呂浴びて屋台で朝食を摂り更に南の「Hoi An」(ホイアン)に行くことにし10時前に路線バスで向かう。このバスの車掌は英語で19.5万ドンだというから高いなと思いながら乗っていたら徐々に客が増えすし詰め状態となり1.5時間ほどで到着。ところが、ここの小さなターミナルは中心地から外れおり、しかもタクシーはいなくタクシーはタクシーでもバイクタクシーだけ。せっかく来たのでバイクタクシーで中心地に行き、超駆け足で見学し待機してもらっていたバイクタクシーでターミナルまで戻り発車寸前のダナン行きに飛び乗った。こちら出足は悪いし窓ガラスが割れていたりのくたびれたバスだったが、行きの運賃と同じだろうと二人で40万ドンを払うと20万ドンだというので英語の兄ちゃんにボラレタのかなと考えてしまった。

17時過ぎにターミナルに行き何番ホームか尋ねるとチケットにバスのナンバーが記載されているので見て探せとのこと。16時頃にキムチバスがやってきたので恐る恐るカメラを向けたが特に問題なく安心。
(長距離バスは皆正面ナンバープレートに火の付いた線香をさしているのは安全祈願なのだろうか)

もちろん土足禁止で席は予約順なのか1A上段であった。行きのバスより程度がよく右側後部に小さなトイレがありシートベルトもカーテンレールもあったがカーテンはなし。車内の観察不足で席数がはっきりしないが、運転席後ろには大きな備品入れもありオフセット配置だったので5列だったのか?最後部は「ごろ寝」スペース。 定刻の18:30に出発しベトナムでは比較的おとなしいと思われる運転で19:30に食事休憩があり出発後にすぐに消灯、DVD放映もなくなり音楽が流れるだけの時間が続いたあと音楽も停止したが、乗務員同士の会話は絶えることなくタバコの煙もくるし最前列すべて良しとはいかない。友人に聞くとトイレ付きなのか降車扱いと運転交代以外に停車はなかったようだ。

朝方、何ヶ所か高速道路から降りてバイクが待機している所で大きな荷物を降ろしていく。乗客の荷物は客室の後部に詰め込まれ床下には大きな荷物が満載されていたようだ。これも収入源になっているだろう。

6:30に到着した「NUOC NGAM」というターミナルもまた大きなターミナルで、国境越えだろうと思われる中国のバスも待機していた。ターミナル内で朝食を摂り前日と同様のパターンを取りたいと考え、旧市街の比較的安価なホテルを探すことにする。適当なホテルを見つけ17時までと交渉したら、フライトが00:30発なら20時まで部屋を使ってもらっていいし、朝食もどうぞ、空港までチャーター便も手配しますと言ってもらい2人一室45ドルほどで嬉しい限り。ホテルでさっぱりし、友人の大好きな昨年とは別の軍事博物館見学、昨年工事中だった「キムマーバスターミナル」見学で汗びっしょり、一旦ホテルに戻った後、旧市街を散策しつつ夕食を済ませ空港へ。

5月3日、6:30中部国際空港に到着し今回のベトナムの旅は終わった。飛び込み状態で無事寝台バス乗車体験の目的を達成することができ体調にも問題なく帰国でき大満足のバス旅だった。

今回乗ってみた寝台バスよりは、自分が乗ったことがある台湾や最近の日本の高グレードバスの方が上かも分からないが、鉄道網が貧弱なベトナムでは安価で多くの定員を確保できるメリットは大きいものがあるのだろうと思う。それにしても12、3時間ほど乗ってミネラルウォーター1本と食事付きで約2、000円、どうして長距離バスはこんなに安いのか疑問が残った。


  1 VDN=0.0058 Yen
  ノイバイ空港~ザップバットバスターミナル (TAXI) 400,000VND(2320円)
  ダナン~ザップバットバスターミナル(バス)   350,000VND(2030円)

2016.5 取材 / 岩田会員・山口会員; 文 / 岩田会員

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